北京五輪銅メダリスト朝原選手と古武術との繋がり
あくまで此処に記述することは、私の独断的推量に過ぎないことを、まずお断りしておく。
今晩NHKのTV番組「トップランナー」に、北京オリンピックの銅メダリスト朝原宣治選手が出演していて、色々と興味深い話が聴けた。
その中の一つに、彼は、特定のコーチには就かずに、自分一人で、感性を重んじて、色々と自分独自のメニューで、試行錯誤を繰り返して、自らの選手人生を歩んで来たとの事であった。
そこに他人から押し付けられる苦しさに代わって、自己責任に基づく、得も言われぬ喜びを享受したという。
この方法はモチベーションを切らすことのない、一つのスポーツ選手の在り方であるように思う。
スタートの時に、身体を揺らすことなく、ニュートラルの状態から、始動したという話を聞いていて、これこそ先日私が聴講した、古武術の権威である甲野善紀先生の講話「武術が明かす世界」の中で、技の一つとして、話された≪井桁崩し≫に通じるものがあるように感じた。
甲野先生のお話を聞いていて、私なりの解釈をすると、≪井桁崩し≫とは、あるパフォーマンスを開始する際に、ひねりとか、反動とかを利用した、体の一部分の反応だとワンテンポ遅くなり、井桁を崩したかの如くに、全身が同時協調的に対応することによって、僅かではあるが、反応速度が、速くなるという。
相手がある場合には対応出来ぬほどのスピードになるという。
この技を体得するには、かなりの修練が必要であろう。
科学的な表現をするとすれば、脳からの指令ではない、脊髄反射の形成ということになるのではないだろうか。
従って、その反射が自然に行われるようになるためには、かなりの反復練習が前提となり、完全に身に着いた時に初めて、その人の感性となるのであろう。
このお二人の間に接点があるか否かは分からぬが、超一流の人が、別々の過程を経て、同じ技に辿りついたとしても、なんら不思議なことではない。