パッティングに関して

パッティングに定型なしと言われ、それこそ色々な方式が過去から現在に至るまで、存在する。ある意味(ワンストロークの重みと言う点)ではプロとアマの差が最も甚だしく、またある意味(体力的な面)では最も差を少なく事の可能な技術ではないかと思う。私は人間工学的な面から、分析した、一つのパッティングの方法を日本ゴルフ学会で発表したり、ゴルフ雑誌(週間パーゴルフ・週間ゴルフダイジェスト・チョイス等)に掲載した事がある。それは支点と回転軸について、身体構造面からの考察を加えた物である。興味ある方は私のホームページ「Q’s Laboratory –整形外科医Mura-Qによる身体の仕組みから見たスウィング分析」 http://www5e.biglobe.ne.jp/~qandk/ をご覧頂きたい。
私は100ヤード以内のアプローチとパッティングに関しては、プロとの体力的なハンデ差(練習量の差は如何ともし難いが。)が殆どないと思うので、色々と試行錯誤を加えて、自分の専門分野(身体の仕組み‐解剖学的・生理学的な知識)からの研究を楽しんでいる。以下に述べるような観点から、実践研究を行っている。本当の意味でのエビデンスは、かなりの設備と労力を要するが、実践の中でも、かなりの興味ある研究成果が得られる。
【パッティング研究】
① パッティングはスウィングの原点:第一胸椎を支点とする振り子運動
② 支点と回転軸が問題:長尺・中尺・短尺              
回転軸―――A:前傾B:水平
③ ①が原型であるが、
応用形として:
A:左手首(左手関節:楕円関節)-青木式)
B:固定したグリップエンド
a. 胸骨b.左わき腹
C:①にリストパッティングを加えたフォーム:一時代前のボビージョーン等に代表されるパッティングスタイル
④ パッティングの諸フォーム:ボビージョーンズ・ウォルターへーゲン・ジーンサラゼン・二クラウス・ロコメディエイト・サムスニードのサイドサドルパッティング・青木式(リストパッティング・タップ式)・バーナードランガー(クロスハンドグリップ)タップ式・スウィープ式・クローグリップ・スプリットハンド
⑤ パッティング理論:
諸説
  A:デイブペルツ‐両肩関節の振り子運動
  B:芝草理論‐Ⅰ.前傾姿勢(タイガーウッズ)Ⅱ.頚胸椎部水平化
⑥ パッティングの諸問題:
A:パターヘッドの軌道-三次元的軌道(円弧運動・直線運動・複合運動等)
Ⅰ.インイン(タイガーウッズ)
Ⅱ.ストレイトツーストレイト(二クラウス)
Ⅲ.アップツーアップ‐一般的
Ⅳ.アップツーストレイト‐ゲーリープレーヤー
Ⅴ.アップツーダウン(所謂ダウンブロー)‐青木式
Ⅵ.インアウト・アウトイン
Ⅶ.直線運動‐ショートパット:究極のパッティング?(人間の特殊能力)――このテーマに関しては折を見て触れて見たい。
   B:インパクト時のロフト角とボールの転がり
    Ⅰ.下向き
    Ⅱ.上向き
    Ⅲ.レベル:0度の垂直

画像

C:振り子運動の半径
Ⅰ.青木式:短
Ⅱ.中尺グリップエンド支点:中短
Ⅲ.長尺胸骨グリップエンド支点:中長
Ⅳ.クラシカル(一般的)-第一胸椎支点:長
D:タップ式とスウィープ式(テンポ)
   E:パッティングの間:神経筋骨格系のスウィッチング‐名手のパッティング
F:パッティングのキャリー(青木式パッティングに見られる。)
キャリー後のボールの転がりの良さ。(芝の上をなめるようにして転がる。力学的:地上及び空中の摩擦抵抗の違い・順回転エネルギーの蓄積)
G:インアウト・アウトインのストローク(ロングパット)でのボールの転がりの変化(ベント芝・コーライ芝の違い)
H:ストローク幅の問題:
Ⅰ.超高速グリーンの場合‐テークバック短くフォローを長くする。
Ⅱ.テークバックとフォローの振幅が同じ。
Ⅲ.テークバックが大きくフォローで強弱を加減してしまう。-アマチュアのミスパット
Ⅳ.インパクトで止めるストローク:青木式パット‐インパクトのフェイスが正確にスクエア
I:パターヘッドの芯
縦横の芯・芯を外す打ち方・高低重心パター・ワイドスウィートスポット
J:パターの形状
ピンタイプ・アクシネット・キャッシュイン・L字パター・フェイスバランスパター・デカパター・フォアボールパター・トゥーボールパター・マレッドパター等など
 K:芝の種類:ベント・コーライその他
 L:ラインの読み(地形・自然現象・水の流れ・風・傾斜・足裏の感覚・読み方のルーチン)・芝目(順目・逆目・遅いグリーン・高速グリーン)
 M:スタンス・両目とボール位置の関係・歩測・両腕三角形のスタイル・ダイアモンド形のスタイル・ヘッドアップ防止の耳で聞くパッティング等など
 N:メンタル問題(パッティングの最重要問題):気・気合・気迫・執念・イップス・しびれ・リラックス・どうでもいいや的心境などなど。
まだまだ問題点は計り知れない。
上記のように極めて多くの、決定的な結論の出ていない、曖昧な実験テーマが或る訳で、これらの追求を日頃のパッティング練習のテーマとすれば、マンネリとなる事はあり得ず、その時点時点での最良と思うスタイルで迷わず本番に臨めば、パッティングを意欲的に行える事であろう。
パターに絶対はない。神様が味方につけば入るし、つかなければ入らないだけの事。けだし「入れてやる」と言う執念だけは何時も持ちたい。
  6.8   Mura-Q