ロボット研究会
昨夜、大岡山の東京工大で2006年度第3回COE公開サロン講演会が催され、講演1「学術的ロボット研究の問題点」産業技術総合研究所 知能システム研究部門 副部長付主任研究員 荒井裕彦氏、講演2「産業界から見たロボット研究への期待」安川電機・技術開発本部開発研究所つくば研究所長 田中雅人氏であった。私の期待はスポーツのパフォーマンスに関係したロボットの話が出て来ないか、であるがそういう話は一切なし。
講演1:ロボット開発により人間が職を失う。逆にロボットでは開発費がかさみ人間の方がずっと安上がりということもある。最近は産業界と学会との乖離が著しいとの事である。
講演2は安川電機内の社内組織の説明が主体。特別トピックスはなし。開発には大勢の人間が関係するのでそれが問題となる事がある。研究者間の技術レベルの差が問題となることあり。学会発表するようなテーマはメーカーにはないし論文にもならない。巷間話題となる、映画や小説などにあるような企業スパイが飛び交うと言ったような、ロボット製作会社間の熾烈を極めた競争の様なものはない。中国はまだ今の所、ロボット業界で目立った動きはしていない。後で質問して分かった事だがスポーツパフォーマンスに関するシミュレーター・ロボットの生産などは扱っていないとの事。整形外科医としての自分関連としては、人工関節・義足を扱っているとの事。
日産自動車のエンジニアの発言:自動車の生産は人が思っているほど機械だけに頼っている訳ではない。人間がやっている部分はまだ結構ある。ロボットの研究者は現場にあまりやって来ない。産学乖離は深刻だ。
産学乖離のどの世界でも同じ様だ。ゴルフ界もしかり。相互理解が進んでいないし、お互いが相手を馬鹿にしていると言うか、相手を理解し様とせず、また相手に理解して貰える様な研究・或いはデータバンクになりうるような研究の要望・期待も少ない。
アイボ・アシモ・介護などロボット産業は大変な市場を持っている事が分かった。
フロアから「人間の代役のみならず、人間を越えるロボットの開発も期待される。」などの発言もあった。
何故私がロボットに興味を持っているかと言うと、ゴルフクラブやボールをテストする機械(ミヤマエのスウィングロボやアメリカのFar HillsにあるUSGA本部のテストセンターに展示されているアイアンバイロンを見て、人間の関節構造とかなりかけ離れていることを知り、何故もっと人体構造に近いものを作らないのか不思議な思いを抱いたからである。)
自分なりにロボットの研究開発に期待している理由として次のような事がある。
先ず現場と研究者がお互いフィードバックし合えるような関係が必要不可欠と思う。言わばバイオメカニクス界の医体工のコラボが理想である。とてつもない制作費を抑えるために、また絞られた目的のためには、人体構造を無視した、可及的シンプルなアクチュエーターで事足りるロボットが、製作の常道である。
ゴルフスウィング動作解析に興味を持つ私としては、アクチュエーターの条件設定を変えるだけで、ゴルフスウィング万能を再現可能なものの開発を期待したい。(人体構造の特徴を備え、しかもシンプルなパーツとしてのシミュレーター・そのパーツを統合した形のロボット‐これぞ医体工がコラボしなくては絶対に産まれない。)なぜなら、その完成の暁には、テスターとして、より真実に近い性能テストが可能となり、ゴルフの教育レッスン(スウィングのメカニズムを説明・理解するのに資する。)・自己スウィングチェック・スウィングの改善・習得そしてスウィング解析研究などすべてのニーズを満たすからである。
ゴルフは静止したボールを打ち、反復性があり、動作解析にもっとも適したスポーツパフォーマンスである。そこでスポーツパフォーマンスの動作解析の基本を完成し、順次他のスポーツパフォーマンス例えば野球・テニス・卓球などと広げ、更には人間の日常のパフォーマンスの研究へと夢は広がるのである。
12月1日 Mura-q
アイアンバイロン——At Test Center of USGA in Far Hills N.J.